「菜々美、このエステはアナタの女性性を破壊するエステなのよ」
「えっ?」
「アナタを男性化するエステなのよ。アナタはね、オ・ト・コに生まれ変わるのよ」
「そ、そんな...」
「アナタの美しいボディラインも、もう見納めね、おーほほほ!」
「た、助けて...お願い!」
「もう遅いわよ。アタシの分泌物をたっぷり配合したオイルでね、アナタはゆっくりと、でも確実にオンナじゃなくなってくんだから、、おーほほほ!」
怪人フジカの、滑稽とも言えるオネエな裏声の笑い声が響く。
「...」恐怖のあまり菜々美は気を失ってしまった。

「なんだ、気絶しちゃつまらないわね。まあいいわ、まずはボディね。やりなさい!」
「はい、フジカ様」
戦闘員エステティシャンはクリームの容器を開けて白いクリームを手に取り、菜々美の手足と腋にたっぷりと、丹念にすり込んで行く。
「このクリームは毛根を超活性化させるのよお、おーほほほ!」

「フジカ様、終わりました」
「では次は顔を施術しなさい!」
「は!」
菜々美の顔に白いクリームが塗り込まれていった。
「うふふ、これで菜々美の女優生命は終わりね...」
そして5分後、菜々美の身体に変化が起き始めていた。





「う...ん」
菜々美は気絶から目を覚ました。
「お目覚めのようね、菜々美。アナタが超高級エステに通って永久脱毛した部分に新たに施術させてもらったわよお」
「え...?」
「この鏡を見るのよ、おーほほほ!」
フジカの合図で天井から巨大な鏡が下りてきた。そこに菜々美の全身が映る。

「きゃああああ!」

鏡に映った菜々美の手、足、腋には剛毛がゆさゆさと生えそろっていたのだ。
いや、菜々美を叫ばせたのはそれよりももっと恐ろしい現実だった。
菜々美の顔の下半分は一面剛毛の髭で覆われていたのだから。

「これでアナタはもう二度と女優に戻れないわね、菜々美。アタシと同じ目に遭った気分はどう!」
「な、何を言うのよ!アナタの『自称』女優と一緒にしないでよ!!」
極限の状況に置かれた菜々美は思わず「紀原富士香」に向けたホンネを口走っていた。
「言うわねえ、菜々美。まあうすうすわかっていたわよ。まあでも、お互いもう女優じゃないからいっしょよね。さあて、次のステージに進む前にちょっとアトラクションよお」

合図を受けた戦闘員エステティシャンが、男性の使う4枚刃カミソリを手に取り、菜々美の顔にシェービングフォームを塗り始めた。
(髭を剃られるのね...でも何で?)菜々美は訝しんだ。

じょり、じょり...
菜々美の顔に生えたヒゲはきれいさっぱり落とされた。しかし...

(続く)