(本作品は、「人工美女の館」(byひとみ絵里さん)のファンフィクションです)


(17)
神前式の列席者は、隆一郎、洋祐、隆司、麻里、そして家政婦の悦子だけで、もちろん俊恵側から列席者が出る訳はない。隆一郎の婚約者めぐみは瞳の逃亡騒動で保護観察の身となりこの場には出席を許されなかった。小村井医師の仕切りで型通りに神前式は進み、三々九度の杯で夫婦の契りが交わされ、この時点で俊恵は隆造の妻となった。

睾丸型ロケットが既に贈られていたので、指輪交換はなし。続いて誓詞の段。隆造が良く通る声で誓詞を読む。
「今日の吉日に私共は御神前で結婚式を挙げました。今後、御神徳を仰ぎ、相和し、相敬し、夫婦(めおと)の道を守り、苦楽を偕(とも)にし、平和な生活を営んで、子孫繁栄の途を開き、終生変わらぬことを御誓いいたします。夫 大神隆造」
ひと呼吸おいて、 やや震えた声で「妻、俊恵」と俊恵が締めた。
「俊恵、これからは、『あなた』と呼んでもいいぞ、ふふ」隆造が耳元に囁く。
「は、はい...」
これからは、この悪魔のような男を「あなた」と呼ぶのか...「抱いて」とか、せがむようになるのか...ああ、瞳のためとは言え、私はなんて恐ろしいことを...俊恵の胸中は揺れていた。しかし、形式通りのせりふとは言え、「子孫繁栄」とは...子供は産めないのに...養子でも取るつもりなのかしら、と俊恵は思った。

隆造、俊恵の式を見ながら隆一郎は将来のめぐみとの挙式を想像していた。どこかでゴスロリを着せるのは決まりとして、和装は綿帽子がいいかな、ウエディングガウンは大胆な胸開きのあるものにしようか...隆一郎がそんなことを考えているうちに神前式はつつがなくお開きとなった。

部屋を移して披露宴第一部である。白無垢から色鮮やかな赤い緞子織の打掛に着替えた俊恵が金屏風を背にして隆造の隣に座る。神前式と同じ面々の出席で、小村井医師がスーツ姿に着替えて来て、今度は司会進行を務める。新郎は紹介の必要も無く、さっそく新婦紹介と言うことになった。すると部屋が暗転し、スクリーンに新婦の姿が大映しになった。





「う、うぅぅ」
俊恵がうめき声を挙げる。聞かされていない段取りで驚いた上、何と、映し出されたのは男性時代のポートレートであったのだ。

小村井医師のナレーションが始まる。
「新婦俊恵さんが俊夫さんだったときの姿であります。今の美しいお姿は想像も付きませんね。ではどうして今のように華麗な変身を遂げたかと言いますと...」そこから、ビデオとスライドショーで俊恵の変身過程が語られて行った。凄惨な手術画面、手術直後の女体、乳首責めと強制された結婚承諾、性感開発訓練でのオナニーなどなど、監視カメラの映像が中心の、「人工女性『俊恵』誕生物語」である。
「うぅぅ..」ショックを受けた俊恵の白塗りの頬を涙が伝う。
「そうかうれし涙を流してくれるか、ふふふ」ここでも容赦のない隆造のいたぶりである。
映像は、「未来の俊恵→?」という字幕を最後に終了した。将来美容整形するという宣告を受けていることを改めて意識する俊恵。

さて、披露宴第一部もつつがなく進行してお開きとなった。俊恵は二部のための召し替えで美容室に行き、洋装へと着替えるが、また何か、掌返しの演出があるのではと疑心暗鬼である。そう思いながらも着替えは進み、洋装向けのメイクが施され、レースがふんだんに使われている純白の下着類、ウエディングドレス、手袋、ヴェールと身にまとって行く俊恵。ドレスは袖無しで両肩が露出する優美かつやや大胆な
デザインである。仕上げにレース模様のチョーカーを首に巻かれ、例のロケットが下げられた。最後にブーケを抱き、第二部登場の準備は整った。

隆造がエスコートに現れた。
「おお、洋装もいちだんと美しいなあ俊恵。胸元の金玉はちょっと邪魔だがなあ」自分でロケット着用を命じておいてこれである。
「さて、言い忘れていたんだが」
「えっ?」
「第二部では妹さんと劇的な再会が楽しめるぞ。そのときに先ほどのわしの『誓詞』の意味が分かると思う、ふふ」
瞳が何故?劇的?『誓詞』の意味って...わざわざ「子孫繁栄」と語った隆造の真意...理解は出来なかったが、俊恵はこの後恐ろしいことが起きることを感覚的に察知した。

「い、いや、出たくない!」取り乱す俊恵。
「何を言うんだ俊恵、乳首を...いや、今日は趣向を変えてこうしてやる。誰か!」
美容室なので女性スタッフが現れ、あっという間に俊恵をドレスの上から縛り身動きをとれなくし、口にはボールギャグを噛ませてしまった。
「う、うぐ、ぐぐ」もがき、うめくばかりの俊恵。
「そうしてもがく姿も美しいなあ俊恵。この後処女を奪われる姿もきっと美しかろう」
隆造のこの言葉に顔色が変わり、いっそう強くうめく俊恵。
「うぐー!うぐ、うぐぐぐ!」
この後処女を奪われる姿って...まさか、私の初夜は公開なの?そんな酷い...それに、瞳はどうなるの?
「俊恵、はしたないぞ、あまり暴れると、妹さんの安全は...」
「う、うぐ、ぐぐ」
「安全を保障してほしければ、静かにしてうなずくんだな、そうしたら拘束は解いてやる。ただし、以降は言う通りにしないと、本当に妹さんは...」
俊恵はうめくのを止め、こくりとうなずいた。
「よし、それでいい。念を押すぞ、披露宴が終わるまで、わしの言う通りにしなさい、いいな?」
隆造は拘束を解き、俊恵の眼を見据えて念を押した。
「はい...」

【続く】