(本作品は、「人工美女の館」(byひとみ絵里さん)のファンフィクションです)


(15)
俊恵のいでたち、男性の背広上下、ワイシャツ、ネクタイ、革靴。

性転換手術で膨らまされた胸と尻がはっきり目立ち、男性の衣服では窮屈なのが歴然である。髪の毛は長いし、隆造の指定で化粧はしたまま、その上、すっかりオンナの身のこなしが板に付いてしまっていて、ちょっとした動作にもオンナが覗く。女性がふざけて男装したような姿、と言うか、女装が板についたオカマがとってつけたように男装したようなじつに奇妙な姿になっていた。
嫌がらせやいたぶり目的以外には考えられないこの仕打ち...

俊恵は屈辱の涙が流れてきそうになるのを耐え、言葉を慎重に選んで精一杯の抗議のニュアンスを込めて隆造に訊ねた。
「隆造様。俊恵はあなた様の妻になるため、女らしくなるよう毎日努力してきました。それを今さら、何故...?」
「俊恵、おまえは確かに今はオンナでわしの婚約者だ。しかし、そうなる前の自分が何だったか忘れてはいまいな?」
「は、はい...」
隆造はその一言を言ったきり、黙って俊恵の顔を見据える。その眼光の恐ろしいまでの鋭さに、俊恵は身を震わせた。これ以上何かを言ったら、地獄の乳首責めが来るのは必至だ。
「で、では、ど、どのように振る舞えばよろしいのでしょう?」恐る恐る切り出す俊恵。
「裏声を止め、男言葉でしゃべってみてはどうだ?『僕は杉浦俊夫です』とか?」
隆造はわたしをどこまでいたぶるのだろう...そう屈辱を感じつつ、俊恵は隆造の言葉に応えた。
「はい...ぼ、ぼくは...すぎうら...としお...」
俊恵は隆造の言われた通りにしようとするが、すっかり身に染み付いた裏声の発声が上手く元に戻らない。女の俊恵と男の俊夫の中間のような奇妙な発声になってしまう。
「どうした?ずいぶんとオカマな杉浦俊夫だなあ、ははは。元々その気があったんじゃないのか?」
そこまで言われ、俊恵の気はすっかり折れてしまった。
「で、できません、隆造様。お許しください、う、ぅぅぅぅ...」
珍妙な男装のまま、涙にくれる俊恵。厚化粧のマスカラが流れ落ち、ピエロの涙メイクのような顔でその場に立ちつくす。





「うむ、許そう。修行の成果はこれで確認出来たからな、はは。あの雄々しかった杉浦俊夫をこうまでオンナらしく出来て、わしにかしづく妻として娶ることが出来るのは、実に喜ばしい、ふふ」
隆造は俊夫/俊恵の人格などかけらも尊重しないセリフを吐くと、立ちつくす俊恵に近づき、いきなり抱きしめた。
不意を衝かれた俊恵であったが、その瞬間、許された安堵感のせいか緊張の糸が切れ体の力がどっと抜け、図らずも隆造に身を任せる格好になってしまった。シャツの上から俊恵の胸を揉みしだき、ズボンを履いた尻をなで回す。
「ふふ、良いおっぱいとお尻の持ち主になったよなあ、『俊夫』」わざと「俊夫」と呼ぶ隆造。
「隆造様、私はもう...」弱々しく抗議する俊恵。
「そうだな、『俊恵』だな。でも『俊夫』でもある、ふふふ」そう言って隆造は俊恵の唇を奪う。
「ん...」脱力したまま、隆造の成すがままキスに応えてしまう俊恵。

こうして、俊恵を自分の思い描く妻/奴隷にするべく、刷り込みを行っていく隆造。いたぶるためだけの目的で、意図的に男の自我を少しだけ残しながら。

30分後。

装いと化粧を直した俊恵がハイレグの黒いレオタード姿で隆造の前に立っていた。レオタードはもちろん隆造の注文で、手術で作られた俊恵の女性体型がレオタードでいっそう際立っていた。肩幅の広さとか欠点はあるが、それでも丸みのある胸部と臀部の曲線は若い純女性のそれと遜色なく、男性の性欲をそそる。

「こうして見ると、実に色っぽいなあ俊恵」
「...」掌を返したかのように「女らしさ」を誉める隆造に困惑するばかりの俊恵。
「どうれ、こうしてやろう」
「きゃっ!」
隆造は俊恵を「お姫さま抱っこ」に抱き上げた。成すがままの俊恵。
「良い体だ...初夜が待ち切れなくてかなわんのう、ふふ。とことん愛してやるからな、俊恵」
そう言って、隆造は「抱っこ」を解き、俊恵にソファに座るよう促した。
俊恵の隣に来た隆造は、俊恵の頬、首筋、胸、脇の下、腿、局部を指で執拗に撫でまわす。恋人同士(?)でなければ痴漢行為そのもののプレイである。
「あ...あぁん」思わず吐息を漏らす俊恵。にやりと笑う隆造。濃厚な痴漢プレイは15分ほど続いた。

「初夜...いよいよなのね」隆造の愛撫に身を任せながら、来るべき結婚式に思いをめぐらす俊恵。仇敵に強制性転換されたこの体が、その仇敵の肉棒により「オンナ」にされ、「妻」という名のもとにその所有物になる俊恵の結婚式/初夜。あと少しでそれは現実になる。

【続く】